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トンボー。

私がはじめて人前でガンバを弾いたのは、ある先生の一周忌の会だった。
その方を私は直接存じ上げなかったのだけど、
今お借りしている楽器の元々の持ち主で、非常なガンバ愛好家だったそうだ。
亡くなった折、奥様が縁の札幌へとお使いだった楽器を送ってくださって、
縁あってそのうちのテナーの楽器をお借りすることになった。
一周忌の際、偲ぶ会を東京と札幌で行ったのだが、その折に奥様は、
札幌では旦那様の愛用していた楽器で演奏をしてほしい、と強くご希望されたそうで、
無謀にもガンバを始めて数ヶ月の私たちが演奏をすることになったのだ。
私はこの楽器をお借りする少し前に、リコーダーの会の方から楽器を借り始めたばかりで、
この楽器が来てそちらを借りるようになり、曲がりなりにもガンバという憧れの楽器を
そして他の楽器が揃ったことで、ガンバコンソートの楽しみを始めることができた。
なので、お会いしたことのないこの先生には、非常に感謝の気持ちを持っている。

この時、亡き人を偲ぶ文集が発行され、出席した私たちも一部いただいてきた。
参加しているリコーダーグループの長老の方々も、数名文章を綴っていたが、
定年の年齢を超える方々の綴られた文章には、巧拙を超えて感慨深いものが多かった。
逝去を悲しむ気持ちよりも、彼岸でお会いしてまた音楽を楽しむ喜びを思う、
などという文章は、お年を召した方でなければ書けない名文だと思う。
自分も同年代の友人を見送ることになった頃、そんな風に思うのだろうか。
そういう気持ちは、その日リコーダーで演奏した「ラクリメ」や
ガンバのレパートリーに多い「トンボー」につながっているのかもしれない。

先日、ガンバ愛好家で古楽のコンサート企画なども多くなさっていた方が亡くなられた。
個人的にさほど存じ上げていたわけではないが、
古楽やガンバがらみではよくその名を目にするお方だ。
件の先生とはコンソートをご一緒していたようで、
昨年のガンバ合宿では、持っていったテナーの楽器をご覧になって、
「またこの楽器に会えるとは」と感慨深げに仰っていたのを思い出す。

人の死はいつも悲しい。 近しい人であれば尚更だ。
残った人はそのことで多くを思い、感じて、心の糧にしていくのだろう。
こんな風に細いつながりの中でさえも、何かを思わせることもあるのだ。

数年前に出席したVnの先生のお父様の葬儀を思い出す。
弦楽4重奏でのカンタービレによる音楽葬。
音楽家や音楽愛好家への弔いには、心からの音楽がふさわしい。

ご冥福を心よりお祈りしたい。
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Commented by 香音 at 2006-03-09 11:50 x
ショーコさんのお気持ち、私の心にも染みます。

先日なくなられた方・・・私も、何度かお話した事がありますし、この夏にはその方の企画の勉強を兼ねた旅行に行く事になっていたのです・・
亡くなられた事きいて、しばらくぼーぜんでした。

>>人の死はいつも悲しい。 近しい人であれば尚更だ。
残った人はそのことで多くを思い、感じて、心の糧にしていくのだろう。
こんな風に細いつながりの中でさえも、何かを思わせることもあるのだ。

ショーコさんのこの言葉、大切にさせていただきます。
そして、A氏のご冥福、心からお祈り申し上げます。
Commented by chocolat_13 at 2006-03-10 07:26
♪香音さん、私はさほど存じ上げていたわけではないので、
こんな風に記事を書いていいものか、かなりためらいました。。。
訃報に接した時は、本当に衝撃でしたよね。 本当に急逝というかんじで・・・。
ガンバ協会の方のメールで、ガンバを愛し続けることが
ガンバを愛していたA氏への何よりの追悼になるのでは、とおっしゃっていて、
本当にその通りだな、と思います。
by chocolat_13 | 2006-03-09 06:03 | ひとり言 | Trackback | Comments(2)

カフェと古楽と着物好きの   お気楽ガンバ弾きの日常です。 


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